かわかもがわ

再び始まる日々の備忘録

18きっぷで行く夏の甲州旅行2016 -その4(飯田線の"秘境駅"を巡る2)-

 終わりが見えない飯田線の旅。その続き...

 飯田線秘境駅千代・田本を訪問し、今度は飯田線でもっとも秘境度の高いとされる秘境駅、小和田を目指す。小和田駅は千代・金野・田本・為栗といった他の秘境駅とは少し離れており、列車で数10分ほど移動する必要がある。

引き続き沿線の車窓は天竜川に沿って続く。途中の秘境駅為栗天竜川の真横にあり、ロケーションがよさそうな雰囲気であった。

平岡に停車。平岡駅はこの秘境駅が多く存在するエリアでは比較的大きな駅であり、特急ワイドビュー伊那路号も停車する。

平岡駅の駅舎は観光施設も兼ねており、日帰り温泉も併設されているようだ。時間があれば訪問してみたかったが、今回は小和田駅の訪問の為、先を急ぐ。

平岡駅を出ても車窓は天竜川を臨む。途中の秘境駅中井侍駅を出て、いよいよ列車は小和田駅に到着した。

飯田線至高の秘境・小和田

飯田線小和田駅は長野県・静岡県・愛知県の県境に存在する飯田線でもっとも秘境地帯にある駅である。駅の存在する地点は山中の無人地帯であり、駅から最寄りの集落である塩沢地区までは林道を5km進む必要がある。そのため、外界からのアクセスはひたすら林道を歩くor鉄道に限られるというなかなかレベルの高い駅だ。

駅名票に加え・・・

こんな3県境界標なんかもホームに立っていたりする

小和田駅はかつては2面2線の交換駅であったが、いつからか反対側の線路は剥がされ棒線駅となってしまったようだ。駅のホームからの眺めはまさに秘境そのものであり、周囲に人の生活感はなく森につつまれている。きっと夜来たら怖い。

小和田駅はかつては恋愛成就の駅として話題となり、結婚式を挙げたカップルがいるそうで、その記念にヘッドマークが駅舎に飾られている。

小和田駅の周辺にはいくつかのスポットが存在するが、その一つが高瀬橋である。この橋を渡ることで、中井侍駅方面にアクセスできる(※ただし行く道は険しい林道であり楽であるはずがない)ようだが、現在では崩落しその残骸が残るのみのようだ。地図を見る限りでは高瀬橋まででもだいぶ距離があるように思えるが、1km弱林道を歩くことで到達できるようである。

駅舎内。かつては有人だった時代もあるのかもしれないが、当然無人駅である。このような秘境にたたずむ駅であるにもかかわらずきちんとした駅舎があるのは大変すばらしい。

先ほどの写真の左側の窓に貼ってある看板をよくみると「いい日旅立ち」の文字が。

駅舎の外観。時代を超えてやってきたような木造の駅舎がこの駅の栄枯盛衰を物語る。いままで何人の旅人を見送ってきたのだろうか。そんな佇まいだ。

駅の外へ・・・

さて、ここまでで大分小和田駅の秘境ぶりを味わったが、本番はここからである。今回の訪問時間は正味1時間半、今度は小和田駅の外に出てみることとする。

まず驚かされたのは"駅前"の景色である。

先ほど掲載の駅舎の写真を撮ったアングルからちょうど180°回転して駅前を見渡したアングルが上記の写真である。駅前というよりいきなり山中に迷い込んだ、そんな感じである。

まず、駅から続く下り坂を下ってみることとする。いわゆる駅前通りといったところか。天気がよいとこのように遠くの山々と天竜川を臨むことができるいいロケーションである。後から調べたところ、駅のトンネル(大嵐方面)へ向かう方向へも道があったそうだが、見つけられなかった&行けたとしてもすぐに行きどまりになってしまいそうだ。

少し坂を下りると愛と書かれた椅子がある。かつて恋愛成就の駅として賑わった名残はいまでも時間を止めて残り続けている。

愛と書かれたベンチを横目に下に下ったところから駅の方向を見る。これが本当に駅に続く通りなのか。知っているからこそ納得できるが知らなかったとすると信じられない。

ここで、塩沢集落1時間、高瀬橋25分と書かれた看板が出てくる。どちらに行くにせよ途中までは同じ道を通るようだ。

先ほどの看板があった地点を右にいった所から後ろを振り返る。写真右に映る家は廃屋であり、ネットで後から調べた話によればお茶の工場だそうだ。実際に中に入ってみたレポート(不法侵入?)なんかも見つかったが、到底中に入る勇気はないので取り敢えず外観だけ観察して高瀬橋の方向へ道を進む。

高瀬橋方面にちょっと道を進む。足元はしっかり石?コンクリート?なんか硬いものでおおわれており、道が道とわかるので、まだ進みやすい。このあたりで左側から天竜川を臨めるようになる。きれい。秘境を散策するのはちょっと...という人でもこのあたりまでは駅から来やすいため、散策の価値はあるだろう。

訪問日は晴れていたため、綺麗な天竜川の様子を臨むことができた。

撮影したところから来た道を振り返る。木陰に隠れて道が暗く写り、行ったはいいがちゃんと戻ってこれるのか不安になる。

さて、道を先に進むにつれ天竜川は木々に遮られ見えなくなり、いっそう怖さが増す。

ちょっと進んだところから天を見上げると飯田線が見えた。電車で来た道も気が付いたらこんな大自然の中。

ちょっと進むと道は暗さを増してきた。この道の先に高瀬橋、まして人の営みがあることが信じられないくらいである。ここから先に行ってみたいという気持ちもあったが、今回の筆者の装備は普段着+履きなれた靴+リュックである。不測の事態にあったら助けてもらえる気もしないので、先の道が暗闇で見えなくなった写真の地点で引き返すこととした。この先の塩沢地区・大嵐駅へ向かった旅人の訪問レポートがインターネットで何件か公開されているが、想像を超える旅路である。今回の記事では、この先の道の訪問レポートはそれらへと任せもう少し駅周辺を散策した様子について取り上げてみることとする。

道を駅の方向へと引き返すと再び天竜川の絶景が出迎えてくれる。写真は中井侍駅方向であり、きっと写真の方向の山中に高瀬橋や塩沢集落が存在するのだろう。

さて、行きは気付かなかったが、この道に分岐があることに気付いた。写真左側の道は駅へと昇っていく道であり、先ほどのお茶工場の廃屋の横の道へと出る。新しく右側へといく道があることに気付いたのでそちらへと向かってみることとする。

少し道を歩いていくと壊れて乗り捨てられたミゼットを発見。小和田駅の近くに小沸得たミゼットが放置されていることは訪問前に調べて知っていたが、こんなロケーションにあるとは...。というかこのミゼットはどうやってここまで来たのだろう。

いつからここにほったらかされっぱなしなのか、今では珍しい車型なのか等いろいろ気になる…

お茶工場跡の崖にはコケがこびりつき、まるで人工物が自然に帰っていくようなそんな感じを感じさせる。なんとなくラピュタっぽい。

ちょっと進んだ先に先ほど駅のほうで見たような看板が見えた。どうやらこの近くには神社があるようだが・・・

進んでみると道は消え、どういくのだろうといった状態。ここで引き返し、駅に戻ることとした。

残りの時間は駅ノートを眺めて過ごした。駅ノート国鉄時代から存在するようで、いままで多くの旅人のメッセージが残されてきている。高瀬橋や塩沢集落に実際に行ってきたといった話も書かれており、とても興味深い内容だった。

駅のホームで列車を待つ。駅のホームの端にいってみるとそこから見えたのは天竜川の絶景。駅のホームからも綺麗に天竜川を見ることができる。

少し待っていると迎えの列車がやってきた。次にまたこの秘境に降り立つことはあるのだろうか。そんなわくわく感を覚えながら中部天竜行の列車へと乗り込んだ。

帰路

その後、中部天竜で乗り換え・・・

飯田線をさらに豊橋方面へ進んでいき・・・

無事豊橋まで走破!(大分端折ってますが・・・)中部天竜本長篠間はなかなかローカル間がありますが、本長篠豊橋間はだいぶまちが発展していて同じ路線でもこんなに色々な"風情"があるのかと思わされた次第。

飯田泊できょうはずっと秘境駅めぐりをしてきたので、豊橋駅はとても大都会。ここで偶然豊橋鉄道めぐりをしていた知人氏に会ったので一緒にお昼ご飯を食べて、あとはひたすら東京を目指して東進。

こんなのや・・・

こんなのや・・・

 こんなのに乗りながら無事地元さいたままで帰ってきた。最後の列車は静岡~沼津間で朝夕に運転されているホームライナー沼津号で、別途ライナー料金を払えば青春18きっぷであっても利用できるスグレモノ。途中静岡~清水間は静岡鉄道に乗ってきたのだけど、そちらは改めていつか別記事で紹介してみたい次第。

-18きっぷでいく甲州旅行 完-

さいごに

飯田線中部天竜豊橋東海道線区間は大分端折ってしまった。