かわかもがわ

再び始まる日々の備忘録

18きっぷで行く夏の甲州旅行2016 -その3(飯田線の"秘境駅"を巡る1)-

お昼でも静かな小和田駅

前回は小海線と、飯田線の前半部分に乗って元善光寺駅周辺に宿泊。今回はその続き。

AM5;:00 元善光寺駅のネットカフェを出発。元善光寺駅をちょっと出たところにあるこの幹線道路の付近はやたら栄えている。噂ではこの近くにリニアの駅ができるとか...?

昨晩真っ暗の中歩いた道を今度は明るい中歩いて駅を目指す。結構同じ場所でも昼と夜では雰囲気がかわるかわる。

調べてみると、どうやら元善光寺駅の駅名のルーツは元善光寺というお寺らしい。名前を聞いてピンとくる通り、長野の善光寺の元となったお寺で、両者の間には関係があるようだ。どうやら元善光寺だけ・善光寺だけの参拝は"片参り"となってしまうようである。近いうちに長野の方にも行こうかなぁと。

始発列車まで時間があるので、道案内に従って元善光寺を目指してみた。朝の散歩はとても気持ちがいい。元善光寺の境内が見えてきたところにレトロな商店を発見。

元善光寺の入り口。早朝なので誰もおらず...。御開帳の時には長野同様賑わうのでしょう。

旅の安全を願って参拝してきました。

元善光寺に参拝した後は始発列車に乗るため元善光寺駅へ。訪問が夜であったので、再度朝に来てみるとあぁなるほどこんな感じかと再認識させられる。

のんびり列車を待っていると塩尻方面に向かっていく快速みすずが到着。昨晩乗ってきた211系も、朝になってやっと東日本エリアへと帰ってくることができる。

きょう最初の列車は1400M豊橋行の313系である。この列車は途中駅の駒ヶ根始発であり、飯田線上りで最も早く動き出す始発列車である。そのため、駒ヶ根以南に宿泊しなければこの列車を利用することはできない。飯田泊をすることで、当日の行動の選択肢を広げることができたと言える。

飯田周辺は駅の間隔も短く、山あいののどかな街並みが広がる。飯田線飯田駅周辺は大きくカーブした線形となっている。そのため、伊那上郷駅下山村駅の間を徒歩で移動する裏技が地域では知られており、これを応用した"乗ってきた列車にまた乗る"というチャレンジが鉄道趣味人の間では有名になっている。

天竜峡を超えて秘境駅へ!

ほどなくして天竜峡駅に到着。ここで10分ほど停車がある。

天竜峡駅付近で天竜川と合流した飯田線はこの先天竜川に沿って豊橋を目指す。天竜川に沿って走るこれからの区間は、山間・県境の渓谷を行くため景色がよく、飯田線の車窓でいえば、ピークとなる区間にはいろうというところである。ただ、そのような山間の渓谷にある集落はまばらで、中には乗降客がほとんどいないような"秘境駅"もまた存在する。今回の飯田線訪問ではそんな山間の秘境駅を何駅か目指してみることとした。

しかし、そんな秘境駅の訪問は簡単ではない。まず飯田線天竜峡中部天竜間は本数が少なく、一駅ならともかく、複数の秘境駅を後列的に巡ることはとても難しい。また、朝の列車には普通列車であっても乗り降りの少ない駅を通過する列車が存在する。通過駅として秘境駅も容赦なく通過されてしまう。

このような背景があるため、今回の訪問では青春18きっぷのメリットである「一度来た道を後戻りできること」を有効活用し、秘境駅である田本・千代・小和田の3駅を効率的にめぐる旅程を立てた。

  • 天竜峡655→快速2524M→田本713
  • 田本720→普通1503M→千代737
  • 千代751→普通528M※→小和田849
  • 小和田1012→普通1504M→中部天竜1042

※528Mは金野・田本・為栗を通過

なお、この旅程は駒ヶ根始発1400M列車に乗ることが絶対条件であるため、前日の沿線(駒ヶ根天竜峡間のどこか)泊が必須となる。また、小和田の代わりに同じく秘境駅である中井侍駅を訪問することも可能である。(ただし、この行程ではどちらか。)

天竜峡駅を出ると車窓右側に天竜川が広がる。山間の田園風景を走ってきた今までの車窓とはうってかわり、一気に山奥へと進んでいく。

途中停車した金野駅。この駅も"秘境駅"の1つであり降りてみたい気持ちもあったが行程上断念。

崖の秘境駅―田本

さて、のんびり車窓を眺めていると田本駅が近づいてきた。降りる準備をしていると、車掌さんが察したような顔つきで「降りられますか?」と声をかけてきたので、18きっぷを見せて下車。

ここ田本は断崖絶壁に無理やりホームをくっつけたような秘境駅で、集落に出るためには崖のぼりをしなきゃならない無人地帯にある駅である。結局この列車から降りてきたのは自分1人だけだった。

「あぁすごいところに来てしまったなぁ」という感想が一言こぼれる。朝の無人地帯、聞こえる音は鳥のさえずりだけである。

一応、待合室はある。幾多の旅の先人たちが書き残してきた駅ノートも健在である。

待合室からホームの側を見ると、そこに広がる景色は森だけである。まさに無がそこにある。訪問して初めて気づいたのだが、この駅の出口は待合室の側には無く、駅の豊橋方に小さな出口があるのみである。そして(当たり前だが)案内がない。そのため、一瞬出口がどこにあるか迷ってしまった。

駅のホームを散策し、駅ノートを少し眺めるとあっという間にタイムアップ。駅の外にも出て見たかったが、滞在時間7分はとても濃く短い時間であった。時間が取れなかった点だけ残念ながら悔やまれる。

側線がかつての繁栄を物語る?-千代駅

さて、普通列車に乗り込み、2つ目の秘境駅である千代駅へ向かった。この駅は、田本駅と比べると民家がすぐ横にあったりで、その分秘境としての度合いは低いのだけど、それでも十分すぎるほどの秘境感の味わえる駅であった。

駅のホームはこんな感じ。見事になにもないが、今では使われていない側線が残されているのがよいアクセントとなっている。

先ほどの写真から反対側を臨む。田本駅同様に待合室があり、駅ノートも置いてあった。

千代駅の出入り口は天竜峡方先端とホーム中央の2箇所にある。まず最初に天竜峡側の出口を出てみる。

先ほどの写真の道の突き当りから右側の方向を見るとこんな感じ。まぁたとえるならば駅前ロータリーみたいなものだろう。写真で見ると秘境感が増すが、実際には右手に住居があり、リオオリンピックの模様を伝えるラジオの音声が流れてきていた。誰もいない秘境で報道ラジオが流れる光景に生活感を感じるとともに不思議な感じを覚えていた。

先ほどの道を進むとこのような感じになる。建物があるとぐっと生活感が増してくる。

 

もう一方の出口は舗装道路が広がっており、車でのアクセスができそうな感じであった。この道の先はどこに通じているのか、少し気になるばかりである。

そんなことを思っていると次の列車が到着。この列車で目指す先は飯田線ナンバーワンの秘境駅小和田である。

(次回へ続く)

おわりに

秘境駅編を1回で書ききろうと思ったけど気力がわかなかった。